vol.32「キラキラ女子の生き方哲学」 キャロライン・ケイシーさん 取材リポート

次号の輝く障がい女子を紹介するコーナー「キラキラ女子の生き方哲学」に登場するのは、アイルランド出身の社会起業家、キャロライン・ケイシーさん。世界の障がい者が価値を発揮できるようになるために、世界を股にかけて活躍する、とてもエネルギッシュでチャーミングな女性です。

左)ライター長谷ゆう、右)キャロライン・ケイシーさん
左)ライター長谷ゆう、右)キャロライン・ケイシーさん

2月某日、ココライフ女子部の取材チームがインタビューを行いました。会話はすべて英語。最初は緊張しましたが、話が進んでいくにつれてどんどん打ち解けていきました。

キャロラインさんは1971年にアイルランドの首都ダブリンで生まれ、遺伝性眼白子症による強度視野狭窄があります。

様々な分野で活躍する人がスピーチする「TEDトーク」に出場し、多くの方の心を動かしました。日本語による字幕も付いています。ぜひ再生してみてください。(こちら

キャロラインさんが育った家庭では「ラベルを貼らない。限界を定めない。信じるは自分の能力と可能性」という考えだったそう。そのせいか子どもの頃から冒険が好きで、28歳の時には会社を辞めてインドに行き、なんと象に乗って旅行をしたのだとか。

今では、様々な企業で、障がいのある人のために、働きやすい環境をつくったり、商品やサービスを開発したり、施設を改善したりすることを勧めるなど、バリアフリー化やダイバーシティ(多様性)のある社会づくりに力を注いでいます。

最近では、世界経済フォーラム・ダボス会議(毎年1月にスイスのリゾート地ダボスで行われる、世界の政治家や大企業の経営者が集まり政治や経済の問題を話し合う会議)に出席して、経営者や、障がいへの理解啓発のために活動している当事者たちと一緒に、バリアフリー化やダイバーシティのある社会をつくるために話し合いました。

キャロラインさんは今回が初来日。“The Valuable 500(ザ・バリュアブル・ファイブハンドレッド)”という運動を広めるために日本に来ました。The Valuable 500はキャロラインさんが始めた、企業の障がい者への取り組みを進める運動です。キャロラインさんは、「障がい者が価値を発揮できる社会をつくるためには、大企業500社の経営者が賛同すれば、変わり始めるのではないか」と考えて、この運動を始めました。

The Valuable 500のバナー。「障がい者を受け入れる企業は、障がい者を受け入れる社会をつくる。障がいはビジネスリーダーの経営課題です。リーダーは覚悟を。The Valuable 500に参加しましょう」
(The Valuable 500のバナー。「障がい者を受け入れる企業は、障がい者を受け入れる社会をつくる。障がいはビジネスリーダーの経営課題です。リーダーは覚悟を。The Valuable 500に参加しましょう」)

海外ではすでに「障がいのある人を大切にする企業は、業績も伸び、企業の価値がますますアップする」といわれるようになっています。

The Valuable 500は世界中で広まっていて、マイクロソフト、P&G、ユニリーバなど世界的に有名な企業262社が参加し、それぞれ障がい者に対する取り組みを進めています。日本でも、京王プラザホテル、日本航空、全日本空輸などが参加しています。

世界中の企業で障がい者に対する取り組みを進めようという運動が広がっていくのは、実に喜ばしいことです。

そして日本では、パラリンピックという一大イベントを控えています。世界中から障がいのある人が大勢やって来るでしょう。それに備えてバリアフリー化やダイバーシティが進められていますが、パラリンピックが終わってからもそうした取り組みを続けていくことが求められています。

2020年5月末発行予定のCoCo-Life☆女子部Vol.32にインタビュー内容が掲載されます。お楽しみに!

左)ライター長谷ゆう、右)キャロライン・ケイシーさん
左)ライター長谷ゆう、右)キャロライン・ケイシーさん

キャロラインさん、共に来日し、行動をサポートしてきたThe Valuable 500マーケティング担当のカリス・ミラーさん、お2人の来日を招聘した日本財団の石井靖乃さん、インタビューを設定していただいたバリアフリーコンサルティング会社ミライロの合澤栄美さん、英語のインタビュー音源を書き起こししていただいたブラインドライターズの野澤幸男さんと藤本昌宏さんに感謝いたします。

文・長谷ゆう