「ウェディングドレスを着てみたい」「お気に入りの一着で写真を残したい」。そんな思いをかなえる、車いす用ウェディングドレスブランド「W2-Dress」とのコラボによる試着撮影会が、2026年6月11日逗子市の会場で開催されました。
今回の撮影会は、Co-Co Life☆女子部と、車いす用ウェディングドレスブランド「W2-Dress」が、「障がいの有無にかかわらず、好きなドレスを選び、撮影を楽しめる機会を届けたい」という思いから企画。当日は4人の参加者が、それぞれ好みのウェディングドレスやカラードレスを選び、ヘアメイクを施して撮影に挑戦し、それぞれの思いを胸に、心に残る特別なひとときを過ごしました。
今回は、撮影会当日の様子とともに、参加者の皆さんが感じた魅力や感想をご紹介します。
お気に入りの一着を選び、撮影会がスタート
今回の撮影会では、4人の参加者が少しずつ時間をずらして会場入り。それぞれが、この日用意した「W2-Dress」の13着のウェディングドレスやカラードレスの中から、お気に入りの一着を選びます。
「ゴージャスなボリューム系か、シンプルなものか。肌見せが気になるならケープもありますよ」
「甘いものと大人っぽいもの、どちらがお好きですか?」
「W2-Dress」でウェディングドレスの企画製作をする宮澤久美さんが、一人ひとりの希望を聞きながら、おすすめののドレスを提案していきます。
参加者の皆さんは「かわいい~!」「これすごくいい!」とドレスをじっくり見ながら、お気に入りの一着を選びます。
ドレスが決まると、さっそく着付けへ。ドレスの着付けは、5~10分程度。パニエ(ドレスの下に着用し、スカートをふんわりと広げるためのインナー)をウエストに巻き付け、後ろが開いた状態のドレスを車いすに座ったまま、前からかぶせるようにまとい、後ろを留めるだけです。ドレスを着たらヘアメイクで変身! 撮影前のドキドキが高まります……!

ヘアメイクが整ったら、アクセサリーやベール、車いすの装飾などもコーディネートし、参加者の魅力を引き出していきます。

準備が整うと、いよいよ撮影スタート。ソロショットはもちろん、参加者同士で並んで撮影したり、立位での撮影に挑戦したりと、さまざまなシーンが撮影されました。
ウェディングドレスに込めた、それぞれの思い
今回の撮影会に参加したのは4名の読者。どのような思いで撮影会に臨んだのでしょうか。
・二葉まなさん(23歳 発作性運動失調症2型)

「SNSで募集の投稿を見て、車いす用のドレスを着てみたい!と思って応募しました」と話す二葉さん。1年前に旦那さんと結婚式を挙げた時、一般的なウェディングドレスを着たそうですが、立って着たことで、体力を消耗したと言います。
「疲れやすいので、一般のドレスを着るために壁にもたれて片足立ちしたり移動したりするのはとても大変でした。でも車いす用のドレスは座ったまま着られてとても楽でした!ガーリーなふわっとしたデザインもとても気に入っています」

撮影中、喜びの表情の二葉さん。「着る時に立たなくてよくて、上だけ脱いだらそのまま着させてくれる。軽いのに、ちゃんとした作りのドレスで感動しました。着ている間もしめつけ感がなく、楽ですね」。

さらに、二葉さんご本人以上に顔をほころばせていたのが、旦那さん。「すごいですね……! 綺麗で感動しました。結婚式の時に見た以上に綺麗で、うれしいです!」と、自身でもたくさん二葉さんの晴れ姿を写真に収めていました。
・岡田春香さん(29歳 顕在性二分脊椎症)

ちょっぴり緊張した面持ちで現場に入った岡田さん。以前イベントで宮澤さんと知り合い、いつか「W2-Dress」のドレスを着てみたいと思っていたのだとか。「車いすでウェディングドレスを着ることは難しいのかなと思っていたところ、宮澤さんの作られたドレスを着ている車いすモデルの方々を間近に見て、『着られるドレス』ではなく『着たいと思えるドレス』だと感動しました。今回私が着ることで、同じように『着てみたい』と感じていただけるきっかけになればと思って参加しました」。
普段はクールな服装が多いと言う岡田さん。今回は宮澤さんと相談し、オフショルダーのドレスの下にレースのインナーを着用するスタイルを選びました。実は、「肩幅の広さが気になる」と話していた岡田さんでしたが、このコーディネートに大満足の様子です!「まるで別人みたい! ドレスはほどよく甘さもありつつ、大人っぽさもあって、素敵です。肩幅がどうなるかなと思っていましたが、これなら全然気になりません!」

車いすの背にも装飾を施し、後ろ姿も華やか。ロングベールで、厳かな雰囲気の撮影もおこないました。長時間の撮影でしたが「ドレスに重さを感じないし、負担がないから楽。カメラの前でどんな表情をしたらいいかわからなかったけど、いろいろなバリエーションを撮っていただいて楽しいです!」とイキイキとした表情を見せていました。

さらに、岡田さんはカラードレスの撮影にも挑戦。またウェディングドレスとはイメージがガラッと変わります。ヘッドドレスには花冠を施し、まるで妖精のような雰囲気。「カラードレスも着てみたかったので、大満足です(笑)」とうれしそうに微笑みます。
最後に、「普段の服でも『着られる服』を選んでしまう。ドレスでも『これなら着られるかな』と思ってしまうけど、ここには『着たいドレス』があります。あきらめずに、着たいドレスを選んでほしい」と話していました。
・中田恵里香さん(42歳 混合性結合組織病 ADHD等)

「ウェディングドレスを着ることが、子どもの頃からの夢だった」と話す、中田さん。「死ぬまでにやりたいことの1つ」だったそうで、今回試着会の企画を知り、応募を決意しました。ピンクが大好きで、この日のために髪のインナーカラーをピンクに染め、気合いも十分。たしかに、酸素ボンベのキャリーもピンク色です。
実際にドレスを着ながら「こんな機会があるなんて……!」と感激の表情。着心地も「着やすくて軽いし、車いすでも動きやすいです。礼服とかドレスって動きにくいイメージでしたが、これは全然違う」とフィット感の良さにも驚いたのだとか。また、袖はドレスとは別に、あとで装着するタイプだったことから、腕の可動域を気にせず着られることにも着やすさを感じたと言います。
さらに、胸には祖母から譲られたダイヤモンドのネックレスがキラリ。華やかなドレスに想いがプラスされ、中田さんの表情はより穏やかになったよう。

そして、中田さんは立位のポーズも撮影。杖のブルーが映え、純白のドレスとのコントラストがとても素敵です。
撮影を終え「夢のようで、1時間以上撮影したけれど、一瞬でした。緊張も含めて、とっても楽しかったです。着る機会がないと思っていたので、本当にうれしかった。ウェディングドレスを着たことで、前向きになれました。まだほかにも夢があるので、次の夢に向けてまい進したいです!」と、にこやかに話していました。
・工平(くだいら)真子さん(28歳 頸髄損傷)

一人暮らしをしながら一般企業に勤める工平さん。今日は有給休暇をとり、満を持しての参加です。「好きなドレスを選んで着られる環境とビジネスがあるということに感銘を受け、ぜひ私も経験したいと思って応募しました。多くの人が当たり前にできることを、当たり前にできない私が経験することで、大事な家族に喜んでもらえたらいいなと思っています」。成人式の時に祖父に買ってもらったという真珠のネックレスも持参し、故郷に住む家族の想いも一緒に撮影に挑みます。
ピンクのチュールドレスに一目ぼれした工平さん。「ピンクと紫が大好き。これだ!と思いました(笑)」と、好みにぴったり合うドレスと出合えました。
実は、成人式の時に一般的なドレスを着た経験があると言う工平さん。今回車いす用のドレスを着て、着つけの仕方だけでなく、着心地にも大きな違いを感じたそう。「立ち姿用に作られている一般のドレスは、座ると生地が余って綺麗に座りにくいのですが、車いす用に作られたドレスは、座った状態で綺麗に見えるように設計されているので、そのままで違和感なく素敵に見えますね。考えてくれた方に感謝です……!」
また、背中やお尻のゴワゴワ感もないことから、「いつもなら長時間座っていると縫い目から褥瘡(じょくそう)や痕になる心配もしちゃうけど、これなら負担ないから安心して着られる」と心身の不安のなさも話してくれました。

背中に同系色の花を施して、ドレスとのバランスをとりながら華やかさをプラス。後ろ姿も「かわいい!」と、同行していたお母さんと一緒に歓びの声を上げる工平さんです。

「プリンセスみたいにふわっとしたドレスが着られるっていうのは叶わないと思っていた」と話す工平さん。今回の体験で「車いすの方もそのパートナーも、あきらめないでいいということを知ってほしい」と言います。
「好きな服を選べるって、本当に人権があるなと感じました。今まで、ポジティブに生きるために、できないことに目を向けるのではなく、できる範囲の中で選ぶようにしてきました。でも今回、自分が着たいドレスを着られて、できなかったことができるようになったと実感できて、本当にうれしかったです。選択肢になかったことを、選択肢に入れてもいい人生になったんですよね。こうやって、車いすユーザーのために考えて普及させようとしてくれる人がいる。そう思うと、私にとって何よりの励みになります」。
終始笑顔で撮影を楽しんでいた工平さんは「いつか結婚することになったらまた着たい。今日体験した楽しい気持ちをまた経験できたらいいな」と幸せそうに話していたのが印象的でした。
簡単に着られて綺麗! 好きな一着を選ぶ喜びが実感できる

今回の撮影を終えて、ドレスの製作者である宮澤さんは、参加者の笑顔を振り返りながら「これまでもファッションショーや試着会を開催し、多くの方に喜んでいただいてきましたが、今回改めて、参加者の皆さんにとっては単なる試着ではなく、一生の思い出になる特別な時間なのだと実感しました」と話します。

「おばあさまから譲り受けたダイヤモンドのネックレスを身に着けたいという方や、『ずっと着たかったウェディングドレスをようやく着ることができた』と話してくださる方もいて、私たちが思っていた以上に、一人ひとりが大切な思いを抱えて参加されていました。だからこそ、これからもそれぞれの思いに丁寧に寄り添いながら、この活動を続けていきたいと思っています」。(宮澤さん)

撮影会場のあちこちから「かわいい!」という声が飛び交い、たまたま通りかかった方も「素敵ね」と思わず声をかけてしまうほど、そこには温かく、幸せな時間が流れていました。

好きなドレスを選べるうれしさ、あこがれや夢が叶う喜び、大切な人の晴れ姿を見た感動。撮影をしながら、スタッフも参加者とともに、その喜びを分かち合う時間となりました。
試着会を見て「私もドレスを着てみたい!」「結婚式を挙げたいけれどドレス選びに迷っている」という方は、ぜひ「W2-Dress」のドレスをチェックしてみてくださいね。

撮影:渡邉 誠 ヘアメイク:mame(bonalycka)・田村 彩花 取材・文:関 由佳