友人や知人のお宅を訪ねるときなどに持っていく「手土産」。相手の好みや家族構成を考えながら選ぶのも楽しみのひとつですよね。
そんな中、Co-Co Life☆女子部 副編集長の関が、視覚障がいのある友人の家を訪ねることに。プレゼント選びには“見た目”も一つの大きなポイントになりますが、視覚障がいのある方には、どんなものを選ぶと喜んでもらえるのだろう、という素朴な疑問が湧いてきました。
「色やイラストより形重視なのかな?」「パッケージの開けやすさも気にした方がいい?」など、考え始めるといろいろ気になります。
そこで、関が自ら視覚障がいのある22人にアンケートを実施。実際にもらってうれしかった手土産から、選ぶときに気をつけたいこと、渡すときにあるとうれしい配慮まで、当事者の皆さんに聞いてみました。
まず聞いてみた! もらってうれしかった手土産は?

まずは、実際にもらってうれしかった手土産について聞いてみました。
回答を見てみると、お菓子や飲み物、日用品など、普段の手土産選びでもおなじみのものがずらり。中でも複数の方から挙がったのが、ご当地のお菓子や名産品です。
「九州に住んでいるので、他の県のお菓子はうれしい」(むっちゃんさん・全盲・47歳)
「その土地の銘菓や地元の方が好んで召し上がるようなもの。地元の方に愛されているものをいただくとうれしいですね」(あずきちゃんさん・弱視・42歳)
「物産展やアンテナショップに行くのが難しく、オンラインショップでもなかなか見つけられない」(ますみさん・全盲・59歳)
など、自分ではなかなか出会えない、その土地ならではのお菓子や名産品を楽しみにしている方が多いようです。
また、「何をもらったか」だけでなく、自分のことを考えて選んでくれたことがうれしい、という声も。
「好みの食材、食感、味やラッピングのデザインなどを覚えてくれていることが分かるお土産の時は、心が弾みます」(まちゃみさん・弱視・40歳)
相手の好きなものを覚えておくことは、視覚障がいの有無にかかわらず、手土産選びの大切なポイントといえそうです。
そして、今回のアンケートで印象的だったのが、「形」を楽しめるお菓子を挙げた方がいたこと。
全盲の山上智美さん(51歳)は、花の形をしたお菓子「チューリップローズ」について、「触っても形がとてもかわいいお菓子で、こんなのがあるなんて知らなかった。私が喜ぶと思って選んでくれた気持ちも、すごくうれしかった」と回答しています。
ほかにも、エッフェル塔やバラをかたどったチョコレートを「味覚、触覚、嗅覚で楽しめた」というユカさん(全盲・34歳)、そして葵さん(全盲・32歳)はくまの形のクッキーなどを挙げ、「形が丁寧に施されているものは、なかなか出会う機会がない」と答えていました。
手土産の魅力には、味や香り、形、手触りなど、「見る」以外にも楽しめるポイントはいろいろありそうです。
味だけじゃない! 香りや触り心地も楽しめる

では、視覚以外の感覚でも楽しめる手土産には、どんなものがあるのでしょうか。
今回のアンケートで「手土産をもらう際に、よりうれしく感じるポイント」を聞いたところ、多くの方が挙げていたのが「香りや味が楽しめる」ことでした。
次いで「個包装になっている」「中身がわかりやすい」といった回答が選ばれました。

たとえば、杉岡さん(全盲・21歳)がうれしかったというのは、静岡・浜松のお土産でもらった抹茶のカステラ。
「普段のカステラと違って香りがあった。抹茶が入っている静岡のカステラと、香りを比較することができた」
同じお菓子でも、香りの違いが楽しみのひとつになったようです。
また、食べ物以外では「入浴剤」を挙げた、のんさん(全盲・30歳)も。「香りを楽しめるため」と、うれしかった理由を教えてくれました。
一方で、何を楽しめると感じるかは人それぞれ。たとえば、キャラクターが描かれたものはあまりうれしさを感じないという方がいる一方、前述したように、触って分かるかわいい形のお菓子を楽しんでいる方もいます。
視覚障がいのある方に「見た目にこだわったものは喜んでもらえないかも」と考えるのではなく、香りや味、形、手触りなど、その人が楽しめそうなポイントにも目を向けてみると、手土産選びの幅が広がりそうです。
選ぶ時に気をつけたいポイントは?

とはいえ、アンケートを見ていると、手土産選びの時に気をつけた方がいいこともあるよう。
中でも食品は、食べるまでに複雑な作業が必要ないものが喜ばれそうです。
あずきちゃんさん(弱視・42歳)は、もらって困るものとして「食べるまでにややこしい工程を踏まなければいけないもの」を挙げています。また、「冷凍で、しかも大きなものは、冷凍庫の空き容量などのことがあるので、いきなり届くと困ります」とのこと。
また、ゆかるんさん(全盲・37歳)は、ドリップコーヒーをもらった際のこんな経験を教えてくれました。
「ドリップコーヒー自体はありがたかったのですが、コーヒーによって幅や切り口が違ったり、うちのコップには幅が合いにくかったりして、セットが大変でした」
ほかにも、大きくて冷蔵庫に入らない生ものや、大量に箱に入ったゼリーなどに困ったという声も。ゼリーについては、種類がいくつもあると「どれがどれだったのかがわからなくなり、賞味期限などもわからなくなる」という理由が挙げられています。
もちろん、こうした使いやすさは障がいの程度や生活環境によっても異なるもの。「視覚障がいのある方にはこれはNG」と決めつけるのではなく、開封や調理に複雑な作業が必要ではないか、保存や持ち運びに困らないかなど、受け取った後のことまで少し想像してみると、より喜ばれる手土産を選べそうです。
手土産は「渡し方」にもひと工夫を

手土産は、何を選ぶかだけでなく「どう渡すか」も大切なポイントです。
アンケートで「どんな配慮があると助かるのか」について聞いたところ、特に多かったのが、手渡す際に中身について説明してほしいという声でした。
「プレゼントだと思って開けるところで何も言わないのはかなり難しいので、『はい、お土産です。中身は○○です』みたいな感じで最初に言ってくれるとありがたいです」(杉岡さん・全盲・21歳)
また、食品の場合は、中身だけでなく賞味期限や消費期限について知りたいという声も多く寄せられました。
「そのものが何かということはお伝えいただきたいです。あと、食品であれば賞味期限は知っておきたいです。常温か冷蔵かなど、保存方法もお伝えいただけるとうれしいです」(あずきちゃんさん・弱視・42歳)
ほかにも、種類がいくつかある場合はそれぞれの内容を伝える、使い方や開け方が難しければ説明する、ハンカチなどであれば色やデザインを伝える、といった声が挙がっています。
中には、点字で賞味期限を書いてもらったことがうれしかった、という経験も。
「お菓子に点字で賞味期限を書いてくれていた」(ゆかるんさん・全盲・37歳)
特別な準備ではなく、中身や賞味期限、保存方法など、見ただけでは得にくい情報を言葉で添えるだけで、受け取る側のわかりやすさは大きく変わりそうです。
結局、一番大切なのは「その人」を考えること

実は、アンケートを始める前は、「色やイラストよりも形を重視したほうがいい?」「開けやすいものを選ぶべき?」など、視覚障がいがあるからこそ気をつけるべきポイントがあるのでは、と考えていました。
ところが、実際に皆さんの回答を読んでみると、何度も登場したのは「視覚障がいがあるからといって、特別に考えなくていい」という声でした。
「視覚障害者にだからといって特別に考えることはなくて、年齢や家族の人数や好みを考えるのと同じようで良いと思う」(山上智美さん・全盲・51歳)
「見えるとか見えないとかにこだわらずに、その人のことを十分考えながら贈られると、いただいた方も嬉しいと思います。あまり『見えないから』にこだわらないでほしい」(牟田口達也さん・全盲・53歳)
「あまり気負わず、不安なら本人に聞いてみるのが一番いいと思います」(葵さん・全盲・32歳)
もちろん、見えない・見えにくいことで、使いづらいものや、言葉で説明してもらえると助かることはあります。ただ、合わせて重視したいのは、「視覚障がい者には何がいい?」と考えるのではなく、相手の好みや暮らしを思い浮かべながら、その人が喜びそうなものを選ぶことなのかもしれません。障がいの有無に関係なく、まずは贈り物をする時の基本的な考え方を忘れないことが大切なのですね。
ちなみに関は、友人が大好きなキャラクター「ちいかわ」のウサギのキャンディーポットをプレゼントに選びました。ウサギがキャンディーの瓶の蓋になっていて、見た目のかわいさはもちろん、触って形が分かりやすいことも決め手になった理由のひとつです。もちろん、とても喜んでもらえました!
手土産選びをする時は、好きな味や香り、その人が暮らす地域ではなかなか手に入らないもの、以前「好き」と話していたものなど、相手のことを考えながら、必要に応じてちょっとした配慮をプラスするところから始めてみましょう。