【Web版】おカネのギモン解決します(2)傷病手当金と障害年金の併給

◆今回のギモン

傷病手当金とはどんな制度ですか? また、障害年金と同時にもらうことはできますか?

つらいときの生活保障制度

まず「傷病手当金」とは、病気やけがで働けない間の生活保障として、給料の一部が健康保険から支給される制度です。傷病手当金を請求できるのは会社の健康保険に加入している方が対象。全国健康保険協会や健保組合に加入の場合、保険証が「健康保険被保険者証 本人(被保険者)」となっていれば傷病手当金を請求できます。

傷病手当金は次の要件を全て満たせば支給されます。

1. 業務外の事由による病気やけがのため療養中であること

2. 療養のため仕事ができないこと

3. 連続して3日間仕事を休んだあと、4日目以降に仕事を休んだ日があること(3日間は待期期間で4日目から支給開始)

4. 給与の支払いがないこと、もしくは少額であること

傷病手当金が支給されるのは、支給開始から最長1年6カ月(要件を満たしている休業した日のみ)。金額はおおよそ給料の3分の2です。

また、障害年金には障害厚生年金と障害基礎年金があり、傷病手当金と同じ病気やけがで障害基礎年金のみを受給している場合は、傷病手当金と同時に両方もらえます。しかし障害厚生年金を受給している場合は、同じ病気やけがでも両方もらうことはできません。障害厚生年金の日額と傷病手当金の日額を比較し、傷病手当金の方が多いケースでは差額が支給されますが、障害厚生年金の方が多い場合は傷病手当金が支給されません。

制度を知っていると、日常生活で起こるリスクや不安の軽減につながります。病気やけがで長期休暇を検討するときは、受給対象か調べてみましょう。

これで解決!

傷病手当は無理なく働くために利用できる制度。まずは傷病手当金の受給対象か保険証で確認してみましょう。

答えてくれたのはこの人!

有賀 智奈美(あるが・ちなみ)
偽性軟骨無形成症。社会保険労務士で、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2012年から年金事務所にて年金相談を専門。2020年から障害年金に特化した社労士として活動中。