助けを求めるときの切り札とも言える障害者手帳。必要なサポートを受けて生きやすくなるメリットがある反面、周りの目が気になってこっそり使っている人もいるようです。そこで、ライターjunkyabe(ADHD・自閉症スペクトラム)が、障害者手帳に対するみんなの本音を調査。割引やサービスのお役立ち情報はもちろん、障がいとの向き合い方などリアルな声を集めました。
【障害者手帳の取得状況】
Q. 障害者手帳を持っていますか?
Q. 障害者手帳を取ったきっかけは?
障害者手帳を取得して思ったこと
➤自分の障がいがやっと認められたという気持ち。(30代・慢性炎症性脱髄性多発神経炎)
➤手帳をもらって第二の人生が始まった感じです。(30代・自閉症スペクトラム)
➤「障がい者」というレッテルを貼られた気分だったけど、助成などが受けられるのでまあいいかという気持ち。(30代・下肢障がい、精神障がい)
➤始めは「諦め」の気持ちでいっぱいでしたが、時間が経つにつれ『神様が与えてくれたもう一つの世界だ』と障がいを受け入れられるようになりました。(20代・視覚障がい・、肢障がい、下肢障がい)
➤障がい者になったことを実感しました。ショックはありましたが、障がい者として生きていく決意ができました。(20代・身体障がい)
➤自分の立ち位置が決まった感じがしました。(50代・聴覚障がい、精神障がい)
➤健常者で生きるの辛いしレッテルはられた方が楽かも!(30代・軽度知的障がい、適応障がい)
➤これから写真付きの証明として使うことができるなと思った。(40代・双極性障がいⅡ型)
【障害者手帳のデザインについて】
Q. デザインや使い勝手はどうですか?
読者の持ち歩きスタイル紹介します!
かわいくて便利な手帳ケースが市販されています
気に入ったケースが見つからなければ、手作りするのもアリ!
障害者手帳のデザイン、実は地域ごとに違うんです
【障害者手帳で受けられるサポート】
Q. よく使う障害者割引やサービスは?
ココでも使える! 耳より情報
➤JRは、介助者と一緒だと半額だよ!(20代・線維筋痛症)
➤ネットスーパーでも割引があります。(40代・脳性まひ・ADHD)
➤福島県二本松市の「スカイピアあだたらアクティブパーク」は、手帳を見せると利用料が半額に。(30代・左腕神経叢損傷)
➤幕張メッセの駐車場が無料になります。(40代・下肢切断)
➤高速代が半額になったり、NHKの受診料が無料になったりします。(50代・頸髄損傷)
➤ディズニーやUSJなど、テーマパークの割引。(20代・両下肢機能の全廃)
➤テーマパークでスタンバイの時間を列に並ばずに他の場所でゆっくり待機できることも。(40代・先天性両脚股関節臼蓋形成不全、変形性股関節症)
➤ホテルで出すと空いているお部屋に移動をしてもらえる。(10代・中等度知的障害、二分脊椎症)
➤名古屋港水族館は、手帳提示で無料で入れます。(40代・二分脊椎症)
※(注)寄せられた情報については施設や機関によって条件は異なります、ご利用の際は事前にお問い合わせください。
Q. 障害者手帳を見せるときの気分は?
手帳を提示して割引やサービスを受けるときの気持ち
➤ありがたいけど、周りの目がまだ冷たい。(10代・中等度知的障がい、二分脊椎症)
➤一人なら利用しやすいけれど、手帳を持たない人と一緒だと利用しづらい。(50代・聴覚障がい、精神障がい)
➤ラッキーと思う反面、健常者に「ずるい」と思われたくない。(20代・脊髄損傷)
➤障害者割引を使って、どんどん社会を知れればいいと思います。(30代・ADHD)
➤本当は障がい者割引がなくても生きていける、格差のない世の中になってほしい。(20代・シャルコーマリートゥース病)
➤窓口の方の対応次第です。「手帳を使ってもいいですか?」と低姿勢で出すようにしています。嫌味を言われると傷つきますが「手帳はありますか?」と聞いていただいて嬉しかったこともあります。(30代・脳性まひ)
➤外出が楽しくなった。美術館や庭園、映画など無料だったり割引きでお安く体験できるのが嬉しいし、サービスを使ってもっと人生を豊かに楽しんでくださいねと背中を押されてるような気持ちをもらえる。(30代・過敏性腸症候群、強迫性障がい)
➤出かける準備も大変なので、割引があることで出かけるきっかけになるし、様々なことに割引やサービスがあることがありがたいと思う。(10歳未満・MECP2重複症候群)
【デジタル障害者手帳】
Q. 持っている障害者手帳のタイプは?
Q. デジタル障害者手帳「ミライロID」を知っていますか?
Q.「ミライロID」のいいところは?
◎ココがおすすめ! ミライロID
➤スマホの画面を見せるだけで公共交通機関に乗れるところ。(30代・脊髄性筋萎縮症)
➤手帳より携帯し忘れない!(10代・肢体不自由、CIDP)
➤かばんから取り出す時間短縮で便利。後ろに並ばれている方に迷惑かけずに出せるのが嬉しい。(30代・脳性まひ)
➤クーポン券があるところ。タクシー代が半額になりました。(30代・統合失調症、難聴、言語障がい、咀しゃく障がい)
➤お寿司屋さんの割引がありました。(20代・内部障がい)
➤紙の手帳よりスマホの方が持ち歩いている確率が高いので、急に必要となった時に便利。(20代・視覚障がい 錐体ジストロフィー)
➤手帳を出して、ページをめくって提示するという複数の動作が不要なところ。(50代・右股関節機能障がい、原発性胆汁性胆管炎)
Q.「ミライロID」の不便なところ
△ココを何とかしてほしい! ミライロID
➤いちいちログインしなきゃいけないところ。(30代・脊髄性筋萎縮症)
➤起動に時間がかかるところ。(30代・解離性脳梗塞、ジストニア)
➤高速道路でも使えたら嬉しい。(30代・左腕神経叢損傷)
➤どこでも使えるわけではない。(50代・右股関節機能の全廃、原発性胆汁性胆管炎)
➤知らない事業者も多く、これ何?と言われることが多々ある。(30代・脊髄損傷)
➤マイナポータルと連携していないとJRで使用できないところ。まずマイナンバーカードを作らなければいけないから。(40代・下肢障がい)
➤マイナンバーとの連携が大変。(30代・脳性まひ)
➤スキャンが使えないから影が写り込んだり、斜めになったりする。(40代・慢性炎症性脱髄性多発神経炎)
あるある? 手帳にまつわるエピソード
➤2歳ぐらいの時に手帳を取ったので、写真が小さい頃のまま。知り合いに見せると全然変わってないねと言われます。(30代・脳性まひ、体幹四肢機能障がい)
➤高校生の頃まで手帳の顔写真が3歳くらいの頃の写真でした。今も30代ですが、高校生の写真のままです(変更しなくては!)(30代・先天性骨形成不全症)
➤障害者手帳のおかげで仕事も安定でき、たくさん出かけられるようになりました。(30代・ADHD)
➤タクシーで優しい気遣いを受けてうれしかった。(40代・関節リウマチ、肢体障がい)
➤お出かけの際、障害者手帳を見せると介助者も割引サービスが使えるのが嬉しいです。映画が好きなので、友達を誘いやすくなりました。(30代・過敏性腸症候群、強迫性障がい)
➤他県にいくと、愛の手帳の名称が違ったりするので、分かりにくいようです!タクシーの運転手さんなどから「愛の手帳って何?」と聞かれます!(30代・軽度知的障がい、適応障がい)
➤手帳の仕様が交付の年代や自治体によって違いがあるため、ページをめくられてあれこれ見られるのが嫌です。(50代・右股関節機能障がい、原発性胆汁性胆管炎)
➤写真を変えるくらいしか更新のきっかけがありません。ずっと使っていると、ページを閉じてある真ん中の部分がほつれて、カバーの中から手帳が出てきてしまいます。(40代・二分脊椎症)
➤「障害者手帳の対象外だから」(20代・網膜色素変性症、神経線維腫症1型)他数名
➤ 「手帳が無くても困らない」(10代・アイカルディ症候群)
➤「障がい者と言われたくない」(30代・精神障がい)
➤「知人や同級生に障がいを知られたくない」(40代・繊維筋痛症)
ズバリ! あなたにとって「障害者手帳」とは?
➤生活するための材料。(30代・精神障がい、軽度知的障がい)
➤私の色のない人生を豊かにしてくれる。(20代・線維筋痛症)
➤これがないと困る!外見には見えない障がいなので。(40代・双極性障がい)
➤私のことを証明するもの。(30代・脊髄性筋萎縮症)
➤可能性を広げてくれるもの。(30代・左腕神経損傷)
➤障がい者になったと理解する気持ち。(50代・視覚障がい、上肢障がい、下肢障がい)
➤ものごごろつく頃からあるので生活の一部。(40代・二分脊椎症)
➤財布やスマホの次に必要なもの。特別なものというより、免許証のような感じです。(30代・難聴)
➤障がい者と健常者の狭間にいるときは辛かったけど、やっと理解されたという証明のひとつです。(20代・複合性局所疼痛症候群)
➤個性として堂々としていられるもの。(30代・解離性脳梗塞、ジストニア)
アンケートを終えて
自分を支える御守りとも言える障害者手帳。「手帳を取って生きやすくなった」という人は多いですが、不便なところもあります。更新の手続きがめんどうだったり、ビミョーなサイズ感が使いづらかったり…。障害者手帳を入れる場所が分からず、カバンの中で迷子になっているのは私だけでしょうか?そんな障害者手帳ですが、お気に入りのケースに入れて持ち歩いている人もいます。そっけないデザインの障害者手帳も、お気に入りのケースに入れれば愛着がわきそうです。
アンケートでは多くの人が「取ってよかった」と答えていますが、障害者手帳に対する思いはさまざま。幼少期から手帳を持っていた人は、障がいを当たり前のものとして受け入れているようです。一方、大きくなってから手帳を取った人は、「やっと理解された」という安心感と「普通の人にはなれない」という諦めが入り混じった感情があるかと思います。「始めはショックを受けて、時間をかけて気持ちを切り替えた」という人も多いのではないでしょうか。
私の場合、障がいを頭で理解できても心から受け入れるのには、それなりの葛藤がありました。「障害者手帳を取る」ということは、自分の障がいと向き合う第一歩だったと考えています。
■この記事のライター
名前:junkyabe
障がい名:発達障がい(ADHD・自閉症スペクトラム)
■イラスト
名前:車イスにゃにゃ
障がい名:先天性ミオパチー
クスっと笑える車いす女子の日常を描いたブログを運営
「車イスにゃにゃのにゃんのその絵日記」