【Web版】おカネのギモン解決します(6)20歳を過ぎた知的障がいによる障害年金の受給

◆今回のギモン

大人になってから軽度知的障がいと診断されました。軽度でも障害年金を申請することができますか?

20歳を過ぎても軽度でも請求自体は可能です

知的障がいの方が障害年金を申請する場合、先天性のケースが多いので、障害基礎年金の「20歳前障害・認定日請求」として申請することが多いでしょう。この方のように、20歳を過ぎて軽度知的障がいが判明し、療育手帳を取得した場合は「20歳前障害・事後重症請求」として請求はできます。幼少期の状況・成育歴・通知表の結果など、客観的にわかる事実があれば、療育手帳がなくても請求できるケースもあります。

知的障がいの方の障害年金は、状態が障害等級1級、または2級に該当していると受給できますが、3級に当たる軽度知的障がいは、障害基礎年金の対象になりません。しかし、受給の認定は療育手帳で分類される知能指数(最重度IQ20以下、重度IQ21~35、中度IQ36~50、軽度IQ51~70)だけでなく、日常生活能力も加味して判断しますので、軽度でも受給できることがあります。日常生活能力とは、食事や身の回りのことが一人でどのくらいできるか、会話による意思疎通の困難度といった社会的な適応性のこと。働いている場合は、仕事の種類、内容、就労先で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況なども確認します。そのため軽度の場合は、日常生活の困難さや労働能力や就労状況を適切に記した診断書と、病歴・就労等申立書の作成がとても重要となります。ちなみに、知的障がいに加え、うつ病などの別の精神疾患を抱えているときは個別に認定せず、因果関係があるとして両方の症状を総合的に判断します。

「20歳を過ぎているから」「軽度だから」と諦めずに、お住まいの市区町村の窓口や年金事務所に相談してみましょう。

これで解決!

まずは生活で困っていることを明確にして、申請の相談を!

答えてくれたのはこの人!

有賀 智奈美(あるが・ちなみ)
偽性軟骨無形成症。社会保険労務士で、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2012年から年金事務所にて年金相談を専門。2020年から障害年金に特化した社労士として活動中。