【Web版】おカネのギモン解決します(7)65歳以降の年金の選択

◆今回のギモン

中途障がいで障害基礎年金を受給中です。事故に遭う前と、事故後に3年前から働いて厚生年金に加入しています。65歳になったら障害基礎年金と厚生年金どちらかしか受け取れないのでしょうか?

組み合わせにより2つの年金の同時受給が可能

65歳時点における障害年金受給の有無、障がいの等級、老齢年金の納付状況により受給の仕方が変わります。また2つ以上の年金の受給資格がある方は、65歳になったら手続きが必要ですので、年金事務所で確認してみてください。

そもそも、年金には老齢年金・障害年金・遺族年金の3つの種類があります。種類の違う年金を複数もらえるときのもらい方を見ていきましょう。

65歳前は老齢年金・障害年金・遺族年金のうち1つを選択します。1人1年金の原則です。

ところが65歳以上は、障害基礎年金と老齢厚生年金という組み合わせであれば、種類の違う年金を同時に受給できる場合があります。相談者の方はこのケースになりますね。ちなみに障害年金は所得税が非課税ですが、老齢年金は課税対象です。厚生年金に加入すると、将来、障害基礎年金に上乗せされて老齢厚生年金を受け取ることができますので、老後の年金額を増やすことに繋がります。

ただし65歳時点で障害厚生年金3級を受給している場合は、組み合わせての受給はできません。障害年金か老齢年金のどちらかを選択して受給します。65歳になったら自身の障害年金の受給状況に合わせて、手続きをしましょう。

この連載も40号で最後になりました。質問や感想をお寄せ下さった読者の皆さま、ありがとうございました。障がいの程度は人それぞれです。障がいがあることで、諦めたことや出来ないことに目を向けてしまいますが、置かれた環境によりできること、やってみたいこともあるはず。制度をうまく利用して、経済的な面をカバーしながらいろいろなことにチャレンジして、人生を楽しみましょう。

これで解決!

65歳になったら自身の納付・受給状況を確認して、手続きを忘れずに!

答えてくれたのはこの人!

有賀 智奈美(あるが・ちなみ)
偽性軟骨無形成症。社会保険労務士で、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2012年から年金事務所にて年金相談を専門。2020年から障害年金に特化した社労士として活動中。