2026年2月1日、東京・日本橋にて第一三共ヘルスケア主催「肌ケアセミナーin東京」が開催されました。
AYA世代(15歳〜39歳の思春期・若年成人)に該当するがん患者の女性たちを対象に、治療中に悩む肌トラブルについて、専門家の講義とメイク講座など気軽にできる肌ケアを学びました。
さらにInstagramで3.6万人のフォロワーを持つ、元看護師で乳がんを経験したインフルエンサーかおまるこさんのインタビューを行いました。

参加者のみなさん
日本では二人に一人が、がんになる時代
がんの治療は、薬の種類によって髪が抜け落ちたり、肌トラブルで化粧ができなくなったりと外見に変化が表れます。
会場にはがんを経験した人や、今まさに治療中の女性たちが20名ほど集まりました。
グループごとに座って和やかな雰囲気に包まれる中、冒頭では広報部で薬剤師の上吉川奈央さんが挨拶し「当社の調査によると、治療中に肌ケアを行い効果を感じた方の8割が、気持ちが前向きになるなどポジティブな心境の変化が起こることが分かりました」と話しました。
今回使用するのは、敏感肌の人におすすめな「MINON」のスキンケア商品。日ごろからドラッグストアでよく見かけるので、安心感があります。
実際に「肌ケア」するためにどんなことが必要なのでしょうか。
抗がん剤治療中から取り入れたいスキンケア
第一部では、第一三共ヘルスケア 看護師東島愛美さんが登壇し、肌の構造からスキンケアのポイントを解説。なぜ、抗がん剤で肌の悩みが増えるのかを簡単に紹介しました。

東島愛美さん
皮膚は3つの層でできています。層の中でも「基底層」と呼ばれる表皮は、がんの治療によりダメージを強く受けることで新陳代謝が鈍くなり、皮膚トラブルの原因になるのだとか。
「がんの治療中は乾燥肌になりやすく、アレルゲンや殺菌などが侵入しやすくなるため、大事なことは『やさしいスキンケア』を行うことです」と語る東島さん。
ポイントは3つ!
・肌を清潔に保つこと
・低刺激で、可能であれば弱酸性の保湿剤を塗ること
・日焼け止めを年間を通して塗り続けること
人間の皮膚は弱酸性で、アルカリ性の高い成分の保湿剤など使用するとバリア機能が乱れがちに。一度傾いた皮膚は、元に戻るまでに健康な方よりも時間がかかるので、治療中の方は特に避けておきましょう。
参加者はその場で皮膚の状態をチェックし、保湿剤の適切な量などを学びながら、ノートに書き込んでいました。

「MINON」のスキンケア商品を手にして話す東島さん
肌ケア体験講座
第二部は、アピアランス・サポート相談室の村橋紀有子さんが登場。セルフエステフェイスケアと題し、肌悩みの解消法を伝えられました。
アピアランスとは「外見」や「見だしなみ」のことを意味します。

村橋紀有子さん
村橋さん考案「巡活マッサージ」のセルフケアを伝授。毎日その場で簡単にできる、むくみの改善・小顔効果が期待できると知って、思わず参加者たちも笑みがこぼれます。
目の周り、頬、顎の部分マッサージを丁寧に教えてくださいました。
「血行を改善することで、健康的な肌を作ります。まず3本の指をそろえて、流れに沿ってリンパを流すことが大事ですね」と村橋さんは言います。
実際に指でなぞると、顔があったかくなり、気分も良くなりました。参加者の方たちはクリームをたっぷり手に取り、丁寧にケアを行いました。
カバーメイク講座
第3部は一般社団法人ピアリング アピアランスケアアドバイザー 野村奈美さんによるメイク講座。
野村さんは大手化粧品メーカーで美容業界に従事し、ご自身もがんの経験があります。
アピアランスメイクを中心とした活動が注目され、今回のセミナーではがん患者向けのカバーベースメイクを教わりました。

野村奈美さん
「AYA世代は仕事や結婚、プライベートでもライフスタイルが大きく変化する世代。治療中でも治療しているように感じさせないメイクをお伝えします」と野村さん。
参加者は鏡を片手に、普段使いできる肌ケアメイクの工程を真剣にメモをしていました。
がんの症状は乾燥だけでなく、人によっては、肌が赤くなる、かゆみ、吹き出物、そして何より最大の敵はシミが増えることです。
今回は、下地クリームでくすみを飛ばすことに集中。血流に近い、ピンク・パープル・ラベンダーの色を選ぶのがおすすめだとか。反対に赤みが気になる人はグリーン系を選び、顔全体に塗るのではなく、隠したいところだけに塗っていくのがポイントです。

乳がんを経験された野村さんのメイク講座には説得力があった
野村さんは、指で軽く叩きながらコンシーラーの使い方、カバーメイク製品の適切な使用方法を伝えます。
「自分が行う治療法には、どんな副作用が出るのか事前に知っておくといいですね。実際に肌のトラブルが起きても冷静に対処できますから」。
メイク後のモデルさんの皮膚にはハリと輝きがあり、思わず「お〜!」と会場からどよめきが聞こえました。
乳がんを克服した看護師・かおまるこさんをインタビュー!
今回は、同じ会場でセミナーを受講していた、インフルエンサーの「かおまるこ」さんにお話を伺うことができました!
かおまるこさんは、27歳で乳がんを発症。闘病生活・副作用対策・お金の悩みなどをインスタグラムで配信。抗がん剤治療で髪が抜けて生えるまでの過程も見せ、リアルな声を届けています。

Q:乳がんを通して自分が“変わった”と思った瞬間はありましたか
かおまるこ:「乳がんで、死んでしまうかもしれない」と不安になりながら、さまざまな検査を受けました。治療ができるかどうかもわからず、結果が出るまでの1ヶ月間が精神的に一番しんどい時期でした。
ただその間に、私は自分が死ぬまでにやりたいことや、後悔しない生き方について真剣に考える機会になりました。
私の中で「最後まで、家族や友達と幸せな時間を過ごす」という答えが出たのです。
一方で、今まで気にしていたことが、あまり大したことではなかったことに思えたり…。がんの発症によって、私の思考が変わった瞬間でした。
Q:看護師としての医療を知っていたからこそ、しんどいことはありましたか
かおまるこ:いえ、知識がある方が安心できました。ただ常に体調が悪く、メンタルに波がありました。
看護師は患者さんの命を救うために、1秒でも早く動かなくてはならないのに、階段の上り下りがだんだんときつくなり、一旦休まないと足が進みまず…。
治療のため休職に入り、今振り返っても仕事を続けることは困難だったと思います。

セミナー参加者と話すかおまるこさん
Q:治療中の大変さを乗り越えて、製薬メーカーの専門的なケアを学ぼうと思ったのはどんな気持ちからですか。
かおまるこ:治療中は以前のようにコスメを選んだり、メイクに時間をかけるなどができませんでした。
想像以上に抗がん剤の影響を受け、術前は皮がむけて、術後は大量の吹き出物に困りました。
おでこに10個、頬に10個、鼻に10個…今までに経験のない肌荒れです。
SNSでは、がん患者の肌ケアについての情報がなかったので、「私の実体験を通して、困っている人に発信しよう」という気持ちで始めたところ、思いがけずたくさんの方が見てくださいました。その半数はがん患者のフォロワーさんです。
ただ私は医師ではないので、診断はしないように意識して、アピアランスのガイドラインを守って発信を続けています。
Q:現在、がんの治療を行っている女性たちへメッセージをお願いします。
かおまるこ:診断を受けてから、悲しい気持ちや落ち込んでしまった時に「つらい時こそ前向きに!」という考え方もありますが、私自身は無理して前向きに過ごす必要はないと感じています。
今は、先が見えなかったとしても、少しずつ前を向ける日が必ず訪れますので「大丈夫」と信じてもらえたらと思います。
編集後記
最近、私自身も美容師さんに勧められて、シャンプーを弱酸性に変えたばかり。今回の肌ケアセミナーは、がん患者の方だけでなく、健康な人にも必要な情報が満載でした。
高いスキンケアセットをそろえなくても、自分の手さえあれば、できることがたくさんあります。
参加者の女性たちは人生で大きな壁を乗り越えた、また、今まさに乗り越えようとしている方々なのだと思うと、同じ女性としてリスクペクト。感慨深いものがありました。
取材・執筆 飯塚まりな