2019年 3月21日(木・祝)、東京都主催の「障害者差別解消シンポジウム」が練馬区立区民・産業プラザCoconeriホール(300人収容)で行われました。編集部の守山菜穂子と、タレント部の小澤綾子さん・松田昌美さんが出演しました。
2016年に国の法律「障害者差別解消法」が施行されましたが、東京都ではさらに2018年10月1日に「障がい者の差別を解消する都条例」を施行しました。この条例の内容を分かりやすく伝えることを目的としたシンポジウムです。
会全体のナビゲーターは、元AKB48で、現在は女優として幅広く活動する鈴木まりやさん。
基調講演「こころのバリアフリーマガジン『Co-Co Life☆女子部』と障害の社会モデル」では、当団体副理事で編集部の守山菜穂子が、Co-Co Life女子部の歩み、自分自身と本誌の出会いや関わりについて語りました。
基調講演では、「障害の社会モデル」という考え方を紹介。社会の受け入れ方法を変えることで、障がいがある人も生活しやすいような社会を作ろうというものです。
また、国の法律「障害者差別解消法」と2018年に施行された「都条例」の違いも解説されました。比較すると、法律では民間事業者は「合理的配慮をするように努力する」、行政機関は「しなければならない」と表記されているのに対し、都条例では民間事業者・行政機関ともに「合理的配慮をしなければならない」と表記されています。
後半のトーク&スタディ「リアルな話を聞いて知ろう。」のコーナーでは、小澤綾子さんと松田昌美さんに加え、親子ユニット「AngelRabbits(重度知的障がい・自閉症スペクトラム障がいのお子さんと、そのお父様によるユニット)」が登壇。
「合理的配慮」の事例がいくつか紹介され、それらについて筋ジストロフィーによる車いすユーザーの小澤さん・視覚障がいの松田さんが、それぞれの立場からコメントしていきました。
車いす利用者への合理的配慮として、「車椅子での移動は時間がかかるため、始業時間の変更などを認める」という事例が紹介されました。
日頃は外資系IT企業で人事部に務める小澤綾子さん。「混雑状況によっては、1本の電車に乗るために1時間以上待つこともある。なかでも満員電車は殺気立った雰囲気で、車いすだとなかなか乗りにくいし、配慮もされにくい。このような合理的配慮はありがたい。我が社もフレックスタイムを導入しています」と語りました。
現在はフリーランスでテープ起こし事業「ブラインドライター」や講演活動などをしている松田さんは、「独立前には、障がい者雇用制度を利用して就職したが、仕事らしい仕事を振ってもらえず、職を転々として10年過ごした」と語りました。この他にも、「賃貸マンションを探す時には、『何かあったら困るから』と300件以上も断られ、住む場所を見つけるのにも時間がかかった」と語りました。
これについて、東京都の共生社会推進担当課長島倉晋弥様は「現在、東京都は不動産会社を対象に、視覚障がい者の入居を断ることがないように、合理的配慮の研修を行っている」と述べました。
「不動産会社は、視覚障がい者が物件を探しに来た時には、賃貸契約の内容を読み上げるなどの配慮をする」ということが、合理的配慮の事例の一つとして紹介されました。
法律や条例による後押し、また「障害の社会モデル」という考え方に基づき、民間事業者や行政機関に対し積極的な「合理的配慮」が求められる時代になりました。
これが追い風となって、以前は障がい者が声を上げにくかったことも「合理的配慮」と認められるケースが増えてきたのです。
障がい者の要望が事業者にとって「過度な負担」になる場合は、現実的に配慮が難しい場合もあるでしょう。しかしその場合も、事業者は「他の場所に行って下さい」ではなく、障がい者とともに「じゃあどうしたらできるかを考えよう」という「建設的対話」をし、相互理解を深めることが大切です。
「トーク&スタディ」では、対話の重要性が強調されました。
小澤さんは「社会はいろんな人がいるから楽しい。一人ではできないことも、みんなで力を合わせればできるようになる」、松田さんは「視覚障がいがあっても、こんなに楽しく生きられるというお手本になっていきたい」と締めくくりました。
「Co-Co Life☆女子部」編集部では、東京2020パラリンピックを控えた東京都が、差別解消法より踏み込んだ条例を制定したことを積極的に広めて行きたく、編集部一丸となって、今後もこのような講演活動を続けていきます。
またこの講演を聞いて、本記事の執筆者であるライター長谷ゆうは、「障がい者×働く」をテーマに、企業に対し、障がい者の職域開拓や、障がい者雇用と成果を出すことを両立させていくか考えるための講演をしたいと感じました。
ここからは楽屋裏での一コマです。
番外編です。
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