障がいがあっても、自分らしく。S N S座談会―プロに学ぶ発信力のコツ 

「SNSを使いこなしたいけど、発信が難しい」そんな読者の声から生まれた新企画!

今回はCo-Co Life女子部の土井編集長と読者モデルが集まり、SNSの向き合い方、発信のコツについて語って学ぶ「SNS座談会」を開催しました。

講師としてお招きしたのは埼玉県広報アンバサダーで埼玉わっしょい大使を務める尾内あゆみさん。現在、インスタグラムで1万9,000人のフォロワーを持ち、埼玉西部エリアで活動しているインフルエンサーです。

基本的なテクニック、発信する際の注意点、フォロワーとの距離感について丁寧に解説。読者モデルたちの率直な悩みに的確なアドバイスをいただきました。

今日から意識すること、すぐに実践したい学びの時間となった座談会の様子をレポートします!

まずは自己紹介からスタート。読者モデルの二人は同世代で、初めから緊張せずに楽しんでいる様子。「フォロワーを増やしたいけど、どうしたらいいのか」「何を発信したら注目されるのか知りたい」など聞きたいことは山積み。

今回は画像や動画が見やすく、多くの世代に親しみやすいインスタグラムをメインに話を進めることにしました。

埼玉県広報アンバサダー 尾内あゆみさん
読者モデル 
赤津慶美さん
読者モデル
平田舞乃さん
Co-Co Life女子部
 土井唯菜編集長

なるべくゆっくりな動画

講師の尾内さんはインスタグラムと並行にフェイスブックを中心に活動中。「フェイスブックはもう古い?」20代の世代にはそんなイメージもありますが、尾内さんは常に同時に発信しています。

「私は本業がケーブルテレビの社員なので、周りの方よりは地域情報を知っていたんです。インスタグラムであれば、自分がよく知る地域情報を多くの人に共有できると思いました。フェイスブックはやや年齢層が高めですが、多くの方が本名で投稿していますし、個人対個人の繋がりを強く感じられるので、どちらの発信も大事にしています」と語りました。

インスタグラムを始めてからの数年は写真だけを毎日コツコツ投稿。ですが、何年経っても1200人以上のフォロワーが増えず、限界を感じます。フォロワーを増やすことが目的ではなく、あくまでせっかく作った投稿をたくさんの人の目に触れてほしいという思いから、尾内さんの戦略が始まります。

「調べていたら、写真よりも動画の方が再生数が伸びることを知りました。インスタグラムのアルゴリズムに則るとシェアされやすく、おすすめ動画として上がりやすくなるので、動画に切り替えました。たった一年で10000人を超えて、現在は1万9000人です。どうして急激に増えたのか、そこは私なりに動画作りのポイントがあったんです」と振り返りました。

尾内さんは周囲と差別化するため、この3点を意識するショート動画を制作するようになりました。

  • なるべくゆっくり
  • 綺麗
  • 見やすい

「え!ゆっくりでいいの?」と思わず声が。確かに尾内さんの動画は、他の動画と比べるとスローペース。ですが、30秒間にしっかり収めてまとまりのあるショート動画になっています。

「学生さんや20代の方から見ると、私の動画はのんびりに感じるかもしれません。でも、私のフォロワーは45歳以上が多く、中には80歳の方もいらっしゃいます。そう考えると若い世代に向けて動画を作るよりも、私の同世代か少し上の年齢の方に届けられると思って。年齢層を意識した動画を作ったことで、再生数は確実に伸びていきました」。

自分で冷静に分析をし、周りがどんなに早い動画を作ってもブレずに作り続けたことで、フォロワー再生数も鰻登りに。今でもその姿勢は崩さず、丁寧な発信を続けています。

「芸能人ではない」を心に留めて

丁寧に、テンポ良く話す尾内さんに参加者3名は前のめりに聞き入っていました。

でも、動画作りにはもっと大切なことがあります。

尾内さんが動画制作で最も意識する4点を紹介。

  • 内容が整理されていて、わかりやすい(見る人の役に立つ)
  • 何を発信するのか (埼玉県や地域の情報を発信)
  • 見る側の立場に立つこと(『この人の発信は苦手だな…』と思われないようにする)
  • ターゲットに合わせる(自分よがりにならない)

一方、NGな発信にならないよう意識することはこちら。

  • 自分たちは芸能人ではない

常に謙虚な発信するをすることが重要だと尾内さんは話します。

「私たちは、ただのごく普通の一個人です。テレビに出ているアイドルや俳優ではないから、少しフォロワーが増えて注目されたとしても、自然体でいることが信頼される近道ですよね」と必要以上に自分を表に出しすぎないことが、気持ちよくSNSを続けるコツだと教えてくれました。

「みなさんも動画を見るときに、いちいち誰が発信しているか気にして見ませんよね。発信者のプロフィール情報までに辿り着こうとする人はごくわずか。なら大事なことは、その情報に価値を付けることだと思います」。

例えば、今は映えるカフェよりも町中華の方が再生数は伸びるのだとか。考えてみたら、町の中華料理屋さんは、レトロでちょっと古びたお店だったり、店内が見えないことから、「気になっているけど入れない」と感じる方もいるかもしれません。

そんな時がチャンス!尾内さんはどのお店も「食べ物だけでなく、外観やお店の中のワンショットは必ず撮るようにしています」と見る人に安心感を与えるような動画に仕上げています。

トレンドの投稿はすでにみんながやっていること。ちょっと視点をずらして情報発信をすることで、フォロワーに喜んでもらえるかもしれません。

読者モデルたちからのQ&A

優しい口調で、サクサク話す尾内さんの人柄に会場の雰囲気が和らいだところで、後半は座談会。普段なかなか口にしづらい悩みや気付きから話題は広がりました。

赤津さん:「大好きなディズニーを通じて、脳性まひがある車いすユーザーの私でもテーマパークで思い切り楽しめる姿を発信をしています。ディズニーファンに向けてはもちろん、“障がいがあっても、こんなふうに楽しめるんだ”と多くの方に知ってもらえたらと思いました。ただ、フォロワーが増えると、たまに心ないのコメントに傷付いたり……。そんな時はどうしたらいいですか」。

尾内さん:「どの人が発信しても100%好かれることは難しいですよね。赤津さんのインスタはきれいで可愛いし、羨ましがられることもあるかもしれない。でも、誰かが表舞台に立ってくれることで助かる人はたくさんいます。気にしないことが一番だけど、自分の発信で勇気づけられる人がいることを忘れないで続けてくださいね」。

平田さん:「平日はリモートで働いていて、SNSに載せるネタや素材を探すのは難しい。今は気が向いた時に、気に入ったコーディネートやネイルを発信しています。本当は自分の日常を発信していろんな人に見てもらいたいのが本音です」。

尾内さん:「本当にアカウントを伸ばすのであれば、投稿数を増やすのがポイントになります。でも、無理をする必要はないし、自分が素直に“楽しいな〜”と思うことを発信すれば、自然と伝わっていくはず。素材でいえば、車いすユーザーのリモート風景や、普段のコーディネートを見せると参考にしてくれる人がいると思います。顔を出すと見る側に安心感と信頼度が増すので、可能なら挑戦してもいいかもしれません」。

土井編集長:「お二人の話を聞いて、“わかる〜!”って共感しました。私の仕事はファッション企業でSNS運用をしながら、Co-Co Life女子部も担当しています。障がいを持つ当事者目線でのファッションを紹介していて、ターゲットやフォロワーをこれ以上どうしたら伸ばせるのか悩んでいます」。

尾内さん:「やっぱり、今見てくれているターゲットの確認ですかね。もし30代、40代が多ければ、フォロワーの求めていることにしっかり合わせてみるのがいいかと。企業で発信するのは個人と違いますし、自由には書けないですから、戦略的にやるなら伸びそうなSNSと合わせて動画を作る方法がいいかと思います」。

座談会は気付けば、夕方17時から開始して、あっという間に20時に。笑い声が絶えず響き、参加者同士でアイデアやアドバイスをする場面もあり、充実した時間を過ごすことができました。

一緒に楽しみながら、前へ進もう

今回、初めてCo-Co Life女子部に参加された尾内さんから、座談会の感想をもらいました。

「SNSは個人で自由に発信できるからこそ、一人一人の“個性”や“らしさ”が大切だと改めて感じました。私自身もみなさんと共有したことで、新しい視点が持てたことがよかったです。

SNSの使い方は日々アップデートされています。私も勉強中ですが、人に何を伝えたいのか明確にして、お互いに自分のペースで楽しく発信していけたら嬉しいです」。

最後には「次回は動画編集の企画もやってほしい!」など新しい企画案も出て大盛り上がり。今回の座談会をきっかけに、Co-Co Life女子部ではSNSで一歩を踏み出していく読者の姿を応援していきます!


 《 講師プロフィール 》

尾内あゆみ

埼玉県飯能市在住。ケーブルテレビの番組制作に約20年携わる。

地域密着型の情報を発信するプロフェッショナルとして活躍。​

2024年度には、埼玉県広報アンバサダー・埼玉わっしょい大使に任命。

県の魅力や農産物のPR活動を行い、地域の人々とのコミュニケーションを大切にしながら、埼玉の魅力を広く発信することに重きを置く。​その姿勢は、地域活性化にも貢献し多くの人に共感を呼んでいる。​

Instagram:@ayumi_onai

写真:阿部謙一郎  取材・文:飯塚まりな