Co- Co Life☆女子部の40代特集!
今回、座談会に参加してくださった3人の人生には、それぞれ大きなハプニングがありました。
ですが、その先に待っていたのは、“新しい生き方”でした。
社会人になってから障がいを経験した3人は、それぞれに仕事や家庭、社会で役割を見つけ、今も挑戦を続けています。
「できないことが増えた」ではなく「できるようにするための工夫を覚えた」。
今回は、20〜30代の読者に向けて、未来に希望を持てるように──「ちょっと元気が出る」座談会、始まります!
登壇者

布施田祥子さん
株式会社LUYL 代表 「Mana’olana(マナオラナ)」シューズデザイナー
一般社団法人NiCHI 代表
2011年 脳出血で、左半身まひになる。2015年、潰瘍性大腸炎で全摘手術を受け、現在はクローン病の治療を続けている。

梅津絵里さん
パラダンススポーツ・アスリート
26歳で全身性エリテマトーテスを発症。6年間の長期入院生活を経験。2017年、車いす女性のユニット「BEYOND GIRLS」を結成。2024年よりパラダンスを開始。

樺山英孝さん
株式会社SmartHR 会社員
2023年に脳梗塞、左半身まひの後遺症が残る。マーケティングの仕事に専念。発症後も職場やポジションは変わらず復職した。構音障がいで現在も通院しながらリハビリを行う。
障がいを抱えた直後、不安よりも目の前のことに目を向けた
それぞれ異なる経験を持ちながらも、同じ40代という共通点。
少し緊張した面持ちでスタートしました。

布施田さん(靴デザイナー/脳出血)はこう振り返ります。
「36歳の時に出産後8日目に脳出血で倒れ、左半身まひになりました。医師から“寝たきりか車いす”と言われたけど自分ごとに思えなくて…。入院中は夜中に一人で泣いた時もあったけど、生まれたばかりの娘もいて、嵐のコンサートに行く予定もあったし(笑)やりたいことが目の前にあったので、絶望感よりも前向きな気持ちが強かったです。」
樺山さん(会社員 /脳出血)もうなずきました。
「僕もそうです。2年前に自宅で寝ていたら夜中に突然身体が動かなくなりました。妻を呼んで、すぐに救急車で運ばれて気付けば病院のベッドの上に。最初の2日は意識が混濁し、その後はショックよりも会社への連絡や治療について、“目の前のことに対処しなくては”と頭がいっていましたね。」
2人の言葉を聞く梅津さんは(パラダンス/全身エリテマトーテス)。
「私は20代の時に幼稚園の教諭をしていて、趣味はサーフィンでアクティブに動いていました。でも、体調不良になってからは難病と診断されるまでに時間がかかって….。症状の原因がわかった時は“ほっとした”気持ちでした。でも、症状が悪化して寝たきりになり、将来に対する不安でいっぱいに。でも、リハビリで少しずつできることが増えると、家族が喜んでくれたので“まだ希望がある”って思えたんです。」
障がいと仕事について
布施田さんは発症した当時の様子を思い浮かべていました。
「最初の頃は育児とリハビリに専念して、今度は2年後に10代から悩みだった潰瘍性大腸炎の悪化で腹痛が続きました。手術をして身体がだいぶ楽になり、社会復帰をしました。
通勤のとき、好きなコーディネートをしても、靴だけはいつも同じスニーカー。コーディネートに合わせて履きたい靴が履けない悔しさで、「ないなら自分で作ろう」と下肢装具をつけても履けるおしゃれな靴のブランドを立ち上げました。
今は、障害の有無にかかわらず誰もがファッションを楽しめる社会を目指し、インクルーシブファッションを日常にする活動をしています。」
樺山さんは職場に相談し、復職を選びました。

「これまでと同じように働くために、上司に今後のことを相談しました。業務に支障が出ないよう、“これなら今まで通りにできる”と僕なりに考えて提案しました。
復職してわかったことは、僕と同じような病気になった方は、発症する前と同じ職場で働くことが簡単ではないこと。有難いことに自分は周りの配慮もあり、何も変わらずに働いていますが、実際に今悩まれている方へ何か発信できればと思います。」
梅津さんは入院生活も長く、病状の悪化で気管切開や胃ろうを経験しました。
「今も体調面を考慮して、フルタイムで続けるような仕事は難しいですが、車いすで可能な仕事やパラダンスに出会い、私も障がいや難病を持つ方に寄り添えるのではないかと思いながら活動を続けています」
日常生活の工夫はありますか?
布施田さん:「料理をする時には、まな板に釘を打って野菜を固定し、片手で切れるようにしています。実は自助具でもまな板は販売しているんですけど、使いにくくて…当事者の声をもっと拾った商品が出るといいですね。」
梅津さん:「わかる〜!(笑)」
布施田さん:「車の運転も、ハンドルが軽く回せる車を選んで、ワイパーだけは右に付けてもらって。特別な装置なしで運転しています。」
樺山さん:「すごいですね、運転されるんですか!僕は、バスに乗るときは手すりを必ず持つなど、バランスに注意して、転倒をしないように気をつけています。
仕事ではパソコンの音声入力機能を活用していて、長文は声で入力、短文は右手だけでタイピング。普段は、ほとんど仕事はリモートで行っています。」
布施田さん・梅田さん:「へぇーパソコンの音声入力機能、便利そう!」

梅津さん:「私は自分の症状が周りからわかりにくいので、丁寧に伝えるよう心がけています。
例えば、身体に痣ができた際によく怪我をしたのかと心配されます。そうではなくて、これは皮膚の内部出血による症状の一つなんです。自分のことを伝えることで、周りにも理解してもらえるように意識しています。」
仕事や活動で楽しいと思う瞬間はどんな時?
今、3人はどんな瞬間に気持ちが高まるのでしょうか。
樺山さん:「以前は営業職をしていて、個人の成績ばかりを気にしていました。でも今は、チームで協力して成果を出せた時の喜びが大きいです。みんなで作り上げる達成感は本当に特別ですね!」
梅津さん:「イベントに出ると、障がいを持ったお子さんたちも見に来てくれて“BEYOND GIRLSみたいになりたい!”と言ってもらえることやパラダンスで踊る時に、周りから注目を浴びている瞬間は言葉にならない幸福感があります。あとは、家族や大切な人たちとおいしいごはんを食べている時が幸せです。」
布施田さん:「マナオラナの靴をお客様が履いて、行きたい場所や目標に挑まれる姿を見ると、靴は単に歩くためだけでなく人生を応援するものだと実感しています。
あとは病気になる前に習っていたフラも再開して、もうすぐフラの講師に会いにハワイへ行きます。できるだけ“行きたい!”と思う場所には足を運びたいですね。」
梅津さん・樺山さん「えっ、ハワイ!?いいなー!」

恋人気分に戻ろうと思って
3人の共通点は、結婚してパートナーがいること。布施田さんと樺山さんにはお子さんが一人、梅津さんはご主人と二人暮らしです。家族との時間について聞きました。
夫婦の時間を大切にする梅津さん。
「いつも夫には、“ありがとう”を忘れずに伝えるようにしています。最近、ついスマホや家事をしながら返事をしていて。付き合っていたころはあんなに目を合わせたのに(笑)
夫婦で『ちゃんと目を合わせて話そう』というルールを作りました!この時間があることで、夫の表情や気持ちと向き合えて、今は恋人気分で仲良くなりました。」

布施田さんも笑顔でうなずきます。
「そういうのって大事ですよね。私は、よく家族と旅行に行って一緒に過ごす時間を大切にしています。」
樺山さんも旅行が大好きなんだとか。
「僕も病気をする前と同じように、家族旅行に行きます。今年はフロリダを旅することができて、ディズニーランドにも行きました!リハビリだと言いながら、少々歩きすぎたけどいい思い出です。」
教えて先輩!若者にメッセージ
落ち着いた雰囲気で対談は進み、最後に若者へ今伝えたいことを尋ねてみました。
梅津さん:「今はSNSの発信一つでも間違えば、炎上して人のミスを責める傾向が強いですよね。生きていれば辛いこともあるけど、どうか思いとどまって自分を守って上げてほしいです。
そして“今が辛い”と感じている自分を認めてあげることも大事です。
あと大切なことは仲間を作ること。私も活動する仲間や家族の存在が大きいです。素直な気持ちを話せる人がいることで“自分は一人じゃないんだ!”ってエネルギーが湧いてきます。」

小さな一歩を踏み出して
樺山さん:「僕は今まで何度か転職してきましたが、最初は自信がありません。でも、自分が本来なりたい姿をイメージしてみると、やってみたいことや挑戦したいことが見えてきます。
自分を俯瞰的に見て、少し動いてみると、“こういう感じなのか”とわかるので安心感を得られます。その安心感を増やすことが、自分の自信につながっているように思います。
小さなことからトライすると、何かが変わるかもしれないので一歩踏み出してみてください。」

捉え方で人生は変わる
布施田さん:「私が病気を発症した時は、発想の捉え方を変えました。できないことに執着するのではなく、できるようなるにはどうしたらいいのか。当時のリハビリを作業療法士と一緒に考えることも楽しかったし、人の捉え方は表裏一体なんですよね。
もう一つは、自分にとって好きなことがあるのは大事です。講演会に行くと、好きなことが見つからないという声もよく聞きますが、“カフェでお茶をするのが好き”とか、“本を読むのが好き”とかそんな小さなことでもいいと思います。私も好きなことを続けて、今の環境や素敵な人たちに出会えました。読者の皆さんにもそうあってくれたらうれしいです。」

《動画で見れる先輩たちのメッセージ!》
布施田祥子さん
梅津絵里さん
樺山英孝さん
写真:鈴木智哉 取材・文:飯塚まりな 動画撮影:扇 強太 動画編集:土井唯菜